2020/11/24 | ちょっと立ち止まってみませんか | | by 校長 |
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国立成育医療研究センターが、小学生から高校生約1,000人を対象に行った調査によると、32%が「もし自分や家族がコロナになったら秘密にしたい」、22%がコロナなった人とは、コロナが治っても、あまり一緒に遊びたくない」と回答しているそうです。こうした思いの背景には何があるのでしょうか。
まず、「秘密にしたい」という思いにさせた原因は何でしょう。コロナの感染が拡大するとともに、感染した人への偏見から考えられない差別が数多く起こりました。また、本来なら感謝されるべき医療従事者やその家族への中傷もありました。テレビなどでこうしたことが報道されたとき、子どもたちの心に「自分は攻撃の対象になりたくない」という思いが起こるのも自然なことではないでしょうか。こうした思いを抱かせる原因の一つは、周りの大人の心ない言動なのかもしれません。
次に「治っても一緒に遊びたくない」という思いは何からくるのでしょう。人は誰しも感染症への恐怖や不安を抱いています。だから、コロナを恐れる気持ちは誰にでもあります。しかし、コロナが治った人とも遊びたくないというのは、どこか悲しい気持ちにさせられます。自分が当事者だったらと考えるとどうでしょう。辛い治療が終わり、やっと元気になったのに友達と遊んでもらえない。こんな悲しいことはありません。悪いのはコロナであって、感染した人ではありません。今こそ、相手の立場に立って考える優しさが大切ではないでしょうか。
コロナへの恐怖は、人の心さえも歪めてしまうことがあります。こんな時だからこそ、子どもたちには「思いやり」をもった人に育って欲しいと願います。相手の痛みが分かる、辛い思いをしている友達に寄り添えるそんな優しい心をもった子どもに育てていきたいと思います。
ウイズコロナの時代、いつだれが感染しても不思議ではありません。コロナに感染しても、感染した人が身近にいても、心穏やかに過ごせる社会や学校にしていくために、私たち大人が新型コロナウィルス感染症を理解し、正しい判断と行動ができるようにすることが、今、求められているのではないでしょうか。
校長 大西 宏之