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 校長室通信

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2019/07/01

セミの成虫はどれくらい生きられるの?

| by 校長

セミの成虫はどれくらい生きられるの?

 

 セミは成虫になってからどれくらい生きられるのでしょうか? 私は今まで、1週間程度しか生きられないと思っていました。しかし、それは俗説で、実は1ヶ月くらい生きていることが証明されました。

 調査方法は、捕まえたセミの羽に油性ペンで番号をマーキングして放し、後日、再捕獲を試みるというもの。7月中旬から9月中旬にかけて、住宅地や雑木林など4カ所でほぼ毎日この調査を繰り返し、863匹にマーキング。15匹を再捕獲し、4匹を再々捕獲した結果、アブラゼミ・ツクツクボウシ・クマゼミの3種で10日以上の生存を確認。最長生存確認記録は、アブラゼミが32日、ツクツクボウシが26日、クマゼミが15日だったようです。

 「なかなか再捕獲できず、調査の効率は非常に悪かった」と笑いながらインタビューに答えたのは、岡山県立笠岡高校3年の植松蒼さんです。彼は小学校1年生の頃から虫に興味をもち、「セミの死骸を夏の間に見かけることが少ないのはなぜか」という”短命説“に疑問をもったことがこの調査を行うきっかけだったと話します。

この調査結果は、中四国地区生物系三学会合同大会で最優秀賞を受賞し、日本動物学会の研究者からも高い評価を受けています。「疑問を解決するために、自ら考えて取り組んだ点が認められたのでは」と植松さんは喜んでいたようです。現在は、調査の精度を上げるため、セミの鳴き声の波形を専用ソフトで解析して、個体をそれぞれ把握する手法の確立を目指しているようです。

 

私はなぜ「セミ成虫は1週間しか生きられない」と思っていたのでしょうか。幼い時から大人や友だちに聞かされてきたことを迷いもせずに信じてしまっていたからではないでしょうか。これは、何の疑いを感じることもなく、よく見もせず、よく調べもせずに、言われ続けてきたことが俗説となってしまうことの一つだと認識しました。

情報過多といわれる現代においては、植松さんのように、目の前にある事象や情報を鵜呑みにせず、まずは「それは本当に正しいのか」と疑問をもち、じっくり考察した上で結論を出す、いわゆる批判的思考(クリティカル・シンキング)が必要だと改めて感じました。

 

                           令和元年7月1日

                           校長 藤井司郎


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