幸せを感じる生活
校長 浅田 和典
新年度が始まり1ヶ月半が過ぎようとしています。木々が若葉に萌え、花々が咲き乱れ、ツバメが巣作りをする好季節になりました。一年生も少しずつ小学校生活に慣れ始め、登下校や学校生活、勉強をがんばっています。地域やご家庭でのサポート、本当にありがとうございます。
そして先日、新入生歓迎遠足を実施しました。コロナの関係で2年間実施できなかったにもかかわらず、新年度最初の全校行事を6年生が事前に準備をし、移動から活動までスムーズに運営してくれました。天候にも恵まれて、笑顔あふれる楽しい半日を過ごすことができました。その中で、1年生を輪の中に入れようとしてくれたり、一人になっている児童に寄り添って声をかけてくれたりと、嬉しいことがたくさんありました。また、全校終会で、給食室に食器等を返す時に、大きな声で、「ごちそうさまでした」「ありがとうございました」と声をかける児童がたくさんいることが嬉しかったという話をしました。さらに「メダカにえさをやりに来ました」と校長室に入って来てくれる児童がいるときも、嬉しくなります。私はそのような時に、心が洗われるような気持ちになり、「幸せ」を感じます。
ところで、国連が定めた国際幸福デーに、世界幸福度ランキングが発表されました。日本は、146カ国中、54位で、先進国では最低順位でした。我々大人の願いとして、「子どもたちの現在及び未来における幸せの実現」があることは疑う余地もありません。にもかかわらず、日本の幸福度が高いとは言えないのは、なぜでしょうか。評価項目では、「GDP」と「健康寿命」を除き、「汚職の無さ」や「社会的支援」が低い評価で、特に低評価なのが「社会的自由」と「他者への寛大さ」だそうです。
私も特に最後の2つの項目「自由と寛容」に課題があると思います。日本は島国で、国際的な感覚が分かりにくい地理的環境にあります。几帳面で実直な日本的な振る舞いは、良い面や誇れる面も多くありますが、そうでない面もあります。先日、TVで「エレベーターで初対面でも会話をする外国人が多い」ことや、「個室で初対面の人と二人きりになったときに、積極的に会話をする外国人が多い」という、日本とは異なる常識があることを知りました。それらの行動の背景には、人がいるのに話をしないということは、相手を無視しているようで失礼だという考え方があるようです。個人の空間や距離感を尊重するあまり、人間関係づくりに消極的な日本は、関わりを少なくするかわりに人との交流を通して得られる大切な気持ち=幸福感を感じる機会が少ない社会になっているのかもしれません。幸福感に全面的に影響を与える最大の要因は、「心の健康」であると言われています。自由で寛容な雰囲気で人との交流をし、その中から得られる満たされた気持ちを大切にしていく必要があると思います。
学校教育においては、知識や技能の習得や反復練習が中心の教育のみならず、自分の意見を出し合う、主体的・対話型な深い学びへの転換に取り組んでいます。また、生活面でも、児童が自己決定をする場面を増やすこと、個々の良さや個性を尊重して認め励ますことを大切にしています。そして、自尊感情を高め、一人一人が自信をもって積極的に行動することができる人間に成長してくれることを願っています。
地域や保護者の皆様には、今後とも、学校教育目標「心豊かでたくましく ともに学び高め合う 神野っ子の育成」の達成に向け、本校教育へのご理解とご協力をよろしくお願いします。